|
今から6年前、28歳の僕は家具の知識が全く無いまま、
家具製作の道に入りました。
大学を卒業して入社した広告会社では
ポスターやカタログを作る仕事をしていました。
流行を作り出す仕事はとても刺激的で、
なんだか世界の中心にいるような気分でした。
年数を経るにつれ、デザインすることの面白さも感じるようになりました。
ただ、仕事がうまくいくようになるのとは別に、
はたして自分の作るものは人の生活に本当に役立っているのか、
という疑問を持つようになりました。
仕事の発注者には喜ばれていても、
実際に人間を幸せにしている仕事なのか、自信が持てませんでした。
それが27歳の頃。
違う世界を知りたくなりました。
まだ新しい世界をみるには遅くない年齢だと思いました。
とはいえ、では次ぎにどんな仕事に就くかはまったく頭にありません。
鞄職人、靴職人、木造大工・・・
とにかくそれまでの”広告”というモノづくりとは真逆の仕事を探していました。
ひとつだけ決めていたのは
「長く使えるモノを作る」仕事。
そんなことをぼんやり考えている時に、
会社に資料として置いてあったある家具屋さんのカタログをみつけました。
その中身は家具の写真が極端に少なく、商業的なカタログとはほど遠い、
自分たちの生活スタイルをそのまま記したものでした。
自由にモノづくりをしている様がそのカタログを通して
とても自然に映し出されていました。
店作りをはじめ、自分たちが使うモノは
自分たちの手で作るという考えがとても新鮮でした。
素敵だな、と思いました。
こうしてそのカタログをひとつ抱えて、
長野へ家具修行の長い長い旅に出かけました。
それから6年の年月が経ち、いろいろな人達に支えられながら
初めての個展をやるところまできました。
これまでにお世話になった方々を呼ぶためにも、
作品展は東京でやる必要がありました。
独立して2年、オーダー家具とは別に作り貯めていたオリジナルの家具ですから、
まだまだ自分のスタイルを確立するまでには至っていません。
しかし、こうして自分の作ったものを通して、
友人・知人に再び出逢えたことが
この個展のなによりの成果だと思っています。
そして、はじめて僕の作る家具を見くれた
さまざまな人からいただいた意見を素直に受け取って
これからよりカタチの追求を行っていこうと決意しました。
会場に足を運んでくれた方々、本当にどうもありがとうございました。
生きづらい世の中だけど、
それでもジタバタもがきながら
必死にモノづくりに懸けている人達がいるということを
ひとりの家具職人を通して少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
AGEHA ORIGINAL 風間純一郎
|